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歴史ある会社を、
新たにデザインする。

〜新ビジネス“デザイン”プロジェクト〜

PROJECT STORY

OUTLINE

2017年4月、中西金属工業に新しくデザイン部署が誕生した。その名も「KAIMEN(カイメン)」。名前の由来は、二つの異なる物質が接している境界を指す「界面(かいめん)」だ。水と油、空と海など、界面では想像を超える様々な現象が起きている。そうした物理現象のように、人間社会に潜む界面を観察し、あらゆる物事を掛け合わせてデザインシンキングすることで、世の中の課題を解決していく。そしてプロフェッショナルなクオリティのインダストリアルデザインによってアイデアを具現化し、新しいビジネスを創造するのが「KAIMEN」の使命だ。大手企業のデザイナー、海外のクリエイター、学生など様々な人たちがつどい、「デザインでビジネスを創造する」。まさに今、1924年から続く中西金属工業の長い歴史に、新たな1ページが刻まれようとしている。

PROFILE

社長付 戦略デザイン事業開発室 KAIMEN 室長
デザイン経営工学専攻/
International Design Business Management Program

新しいロゴは、
社会への決意表明だ。

私が「KAIMEN」の設立を取締役から打診されたとき、「これらを満たさない場合はお断りします」と二つの条件を提示しました。一つ目は、ビジネスそのものからデザインする裁量を持てること。もともとの依頼内容は、「中西金属工業が、今後BtoCのものづくりにも注力したいから、デザインのマネジメントをお願いしたい」というものでした。しかし、見た目だけを気にして、デザインでお化粧を施すだけの製品は失敗に終わる。本来ものづくりは、社会の構造とニーズを徹底的に観察し、ビジネスの本質を究明してこそ消費者の心を捉えることができるというもの。そのため、デザインを軸とした事業開発には、社長直属の部署になることが必須でした。それが二つ目の条件です。特に、中西金属工業のような歴史のある会社では、新しいプロジェクトを立ち上げるのに、社内の理解と協力が欠かせません。同じようにデザイン部署を設立するも、社内での立ち位置が不安定になり、失敗する企業を私はよく見てきました。経営の根幹から携わってこそ機能する部署なのです。ただし、ポッと出の部署が、いきなり経営陣とつながることに難色を示す人が出るかもしれない。ひいては組織のバランスが崩れる可能性もありました。しかし、取締役は即答で「OK」。中西金属工業の本気度を感じ、私も覚悟を決めました。


そんな会社と「KAIMEN」の決意を社外にも発信するという意味で、2018年7月、コーポレートロゴを刷新しました。モチーフは二つ。まず、「金型」です。主力製品であるベアリングリテーナーはプレス金型でつくられます。これまでも、そして今も会社を支えるこのものづくりへの敬意をあらわす意味で、金型をイメージさせるものにしました。そしてもう一つのモチーフが「N」。「“N”EW」「K“N”OWLEDGE」「“N”AKANISHI」の“N”をイメージに入れたかったのです。これは社会に対する「既存の事業を発展させると同時に、新たなビジネスの創造を推進する」という決意表明。それを率先して実行するのが私たち「KAIMEN」です。今は種まきをしている段階ですが、少しずつ芽が生まれつつあります。その一つが「“働く”場所のためのキッチン」。チャンスはすぐに巡ってきました。

歓迎すべき失敗。

きっかけは、社長からの「新商品として高級キッチンをつくってくれ」というミッションでした。すぐにチームを結成し、検討に入る。住まいのキッチンは市場がレッドオーシャン。そこで浮かんだのが「オフィスキッチン」でした。アメリカやヨーロッパでは働く場所にキッチンを置く会社が増えているけど、日本ではまだ稀。競合他社も少ない。社内の各部署や協力会社の力を借り、すぐプロトタイプを製作しました。それが今、クロスパークにあるキッチンです。広い天板、ユーザビリティを追求したシンク、圧倒的な存在感。モノ自体の完成度は上々。もしも「KAIMEN」がただ新しいモノをつくることだけをゴールとしていたら、そして、今までの中西金属工業であれば、このキッチンは「成功」と認識されたでしょう。しかし、私たちのミッションは社会が求める新しいビジネスをつくること。だから、今回のキッチンは「失敗」だったのです。ただしこれは、歓迎すべき失敗。ものづくりの本質にまた一歩迫ることができましたから。私たちが考えるオフィスキッチンの存在価値。それは、社員同士のコミュニケーションを加速させ、新しいイノベーションを生む場となること。他社でオフィスキッチンを運営している会社では、専任スタッフを常駐させ、人が集まる仕掛けをつくるところもありました。しかし、多くの企業はそこに専任スタッフを置くことに難色を示すだろう。誰もいなくても、多くの人が自然に集まるキッチンが理想。その後、試行錯誤を繰り返し、発想を変え、目をつけたのが「たこ焼きのキッチン」でした。みんなで突きながらつくることで、自然と会話が生まれる。料理としても、海外のベジタリアンが食べられるし、宗教上の問題もない。しかし、実際にプロトタイプを持ち込んでトライしてみたところ、これもまた失敗。利用者がその場に定着しすぎる。たとえるなら、回転率の悪い飲食店でした。

全てが絶妙な、
新ビジネス創造の場。

今は次なるオフィスキッチンの構想を練っている最中です。ただ、これまでの過程で一つ確信したことがあります。立ち上げて間もない「KAIMEN」に対して、会社は失敗を責めることなく次の挑戦を支援してくれること。諦めなければ必ず成功を収められる、と。実は、前職で大学の講義をしたり、フィンランドに住んでデザインの運用について学んだりしていました。そのときにたくさんの企業を見てきたのですが、名の知れた大企業は潤沢な資金と開発能力はあるものの、柔軟性に欠けるところが多い。かといって中小企業では莫大な開発費がネックになる。その点、中西金属工業はあらゆる面で絶妙と言えます。長い歴史の中で培ってきたものづくりの技術と設備、安定した業績が生む潤沢な資金、自由に挑戦しようという風土。新たなビジネスの創造に必要な全てがそろっている企業は珍しいと思います。


だから、立ち止まっている暇は1秒もありません。今も「KAIMEN」では、各メンバーも全国を飛び回りながら、数多くのプロジェクトが動いています。各事業部と連携して開発することも。その詳細はトップシークレットなのでお伝えできないのが残念ですが、間違いなく言えることは、成功したら新しい経営の柱になるということ。それほど「KAIMEN」は中西金属工業の未来を左右するチームなのです。そんな私たちが掲げているゴールの一つが、「今までにない家電をつくる」こと。ライフスタイルの多様化に伴い、新しいニーズは必ず生まれます。ものづくりでも、インダストリアルデザインの力が鍵となるでしょう。ひとたび世の中に受け入れられたら、継続的なモデルチェンジを通じて息の長いビジネスを構築できます。数年後には、中西金属工業の事業内容に「KAIMEN」発信のビジネスが併記される。それが、社会でムーブメントを起こす。そんな未来へ向けて、多くの歓迎すべき失敗をバネにしながら、一歩ずつ会社と共に前進していきます。

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