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農家の想いを追いかけて、
日本の農業をひっくり返せ。

〜農家の相棒ロボット“agbee”開発プロジェクト〜

PROJECT STORY

OUTLINE

金属加工のものづくりを主軸に展開してきた中西金属工業。そんな当社が、約100年にもなる歴史と実績にとらわれない「ゼロからのものづくり」に挑もうとしている。メンバーは、会社の次代を担う若手が中心。その第一弾と言えるのが、農業への参入だ。「デザイン思考」という理論と、自分たちの想いを原動力にして。そのプロジェクト第一弾となる「農家の相棒ロボット」を今、開発中だ。名前は「agbee(アグビー)」。ユーザーに追従しながら荷物の運搬をサポートし、搭載したセンサーで収穫量の予測や計画づくりもできるこの製品は、国内外のメディアからも大きな注目を集めている。「agbee」の誕生を待ち焦がれる農家も非常に多い。「日本の農業をひっくり返す」という志の裏側にあるものとは。そして、プロジェクトメンバーが感じた、中西金属工業の新しい可能性とは。

PROFILE

E事業室 アグリイノベーションチーム
生物理工学部 機械制御工学科出身
E事業室 アグリイノベーションチーム
理工学部 電気電子工学科出身

ゼロからの開発って、
何から始めるんだっけ?

2014年春、本社のデザイン思考スタジオには、僕を含めた5人が並んでいました。事業部も年齢もバラバラ。当時、自動車部品の設計担当だった僕にとっては初対面のメンバーです。そこに上司がやってきて、開口一番「今までにないモノを開発してほしい」と切り出しました。「会社の、未来の新しい礎を築く挑戦だ」と。その言葉に心打たれた僕たちは、「千載一遇のチャンスだ」と確信。その日を境に、普段の仕事と兼任する形でプロジェクトが走り出しました。さっそく、今回のアドバイザーである奥出教授(慶應義塾大学)を招いて作戦会議。奥出教授は「デザイン思考」の研究者で、新製品の開発経験がなかった僕たちに、イノベーションを起こす発想のヒントを授けてくれました。セオリーでは、新しいビジネスは社会の課題を解決するものが望ましい。そこで、ふと、子どもの頃に見たある光景が脳裏に浮かびました。朝から晩まで、ひとりで畑仕事をする祖父の姿です。「農業の問題を解決する製品はどうでしょう?」。満場一致で、僕の提案に決まりました。

すぐ、農業の課題を把握するために現地調査を開始。これも「現場に出て顧客に寄り添う“共感”を大切にする」というデザイン思考に基づくものです。北は青森から南は九州まで、手分けして農家さんを訪問しました。そこで目の当たりにしたのが「収穫の過酷さ」。腰をかがめて農作物を台車に積み、水を含んだ重たい土の上を押して移動する。それは想像以上にキツく、平均年齢が極めて高い日本の農業にとって「絶対に解決すべき課題だ」と感じたんです。そこから着想を得たアイデアが、農家さんの背中を追いかけて荷物の運搬をサポートする「動く台車」でした。さらに農家さんたちは、収穫量が生活に直結するだけに「来年はもっと収穫量を上げたい」という願いを抱いていました。そんな想いに応えられるものづくりがしたい。そして「農業のある生活は楽しい」と、より強く感じられるようにしたい。みんなで話し合った結果、一つのコンセプトが生まれました。「農家の来年」です

こんなメカメカしいもの、
誰が買うんだ?

コンセプトが決まったら、次は試作機の製作です。材料はベニヤ板や段ボールを使って、「つくりながら考える」。形になったら、みんなで問題点を洗い出し、解体してはつくり直す。その期間、約半年。月日が経つにつれて、メンバーの本気度も上昇していきました。そして迎えた2015年1月。不恰好ながら完成した試作機をひっさげ、いざ役員プレゼンへ。映像や寸劇をまじえて、農作業の過酷さや実際の使用シーンをアピールしていきました。思い返せば赤面するほどの大根役者っぷりは置いといて(笑)、汗だくになりながら伝え続けたコンセプト。結果、役員の第一声は「いいじゃん!」。込み上げてくる達成感と安堵感でみんなの顔が緩んでいきました。まさに、このメンバー、このチームだからこそもぎ取れた勝利です。

さあ、次は試作機の実製作。メンバーの士気は最高潮。しかも、中西金属工業はものづくりの会社だけに、機能をカタチにすることには自信がありました。でも、プロトタイプの機械を教授に見せたとき、一蹴されてしまったのです。今までになく厳しい口調で「こんなメカメカしいもの、誰が買うんだ?」と。確かに外見がいかにもメカ。農家さんを追従するセンサー、高さを自動調節する機構など、機能は充実していたものの、畑には似つかわしくないデザインでした。自分の生活に照らし合わせてみれば、教授の指摘はごもっとも。例えばスマホでも、ゴツすぎて無機質なものを買いたいとは思いませんよね。今までBtoB向けの製品を中心につくってきた僕たちには、BtoC向けの消費者目線という視点が欠けていたんです。天国から地獄に突き落とされた、そんな気分でした。そのあと開いた反省会は、何時間も続きました。

僕らの使命が、
会社の正式な事業に。

「機能性とデザイン、どちらにもこだわろう」と改めて意志を統一して再スタート。デザインに必要な資金は、会社が惜しむことなく支援してくれて、有名なプロダクトデザイナーに依頼することができました。機能面も、畑で試験を繰り返し、バージョンアップを推進。特にプロジェクト発足当初から協力してくれている農家の草竹さんには何度もアドバイスをいただきました。そして、遂にプロジェクトの正式名称が決定。「このプロジェクトには日本の農業を変える可能性がある」と信じてくれた、草竹さんをはじめとする農家さんたちの想いも乗せて、「agbee(アグビー)」と名付けました。農業を示す「agriculture(アグリカルチャー)」と、乗り物を意味する「vehicle(ビークル)」を掛け合わせた造語です。「ve」ではなく「bee」としたのは、働き蜂のように働いて欲しいと願いを込めて。そして、できた時間を家族との団らんや趣味に充てるなど、農家さんがよりよい生活を自らデザインできる社会にしたい。やがて評判は国内外に広まり、日本代表として世界中から集まるドバイの展示会にも招待され、200を超えるプロジェクトの中からトップ10入りを果たしました。

そして2018年。「agbee」の開発は正式なミッションとなり、専門の部署が開設されました。拠点は社内の開発スタジオと草竹さんの農場です。メンバー構成も変わりました。いつの間にか僕も最年長のリーダーです。新チームは個性派ぞろい。冷静沈着、猪突猛進、石橋を叩きまくる慎重派…。2018年から新卒で配属された新メンバーの女性社員は、自称「職場の太陽」だそうです(笑)。最近参画した展示会では、彼女がポスターやスマホカバーをつくってくれました。意外な才能に驚きです! 他のメンバーも積極的に「自分らしさ」を出してきており、第1期に負けないチームになってきました。「agbee」の機能にもバリエーションが増えました。圃場センサーからスマホに情報が送られ、いつでもどこでも畑の状況を確認できる。土壌の温度、水分量などを精緻に測定してくれる。収穫量も自動的に計算できる。作業を終えて自宅に戻ると、全てのデータをスマホやPCで確認できる、など。そのために必要なアプリやIoTシステムなどの技術は、各々がゼロから勉強しています。今後の目標は、「agbee」を農業ロボットの名称に留まらせるのではなく、農業の未来を示すブランドに発展させること。そして、会社の新たな礎となる事業に発展させることです。さらに言えば、「agbee」を先駆けに、新しいプロジェクトがもっと誕生する風土づくりを加速させられたらいいですね。そのためには、これまでのNKCにとらわれない柔軟な発想を持つ存在が必要。そう、このストーリーを読んでワクワクしてくれたあなたのような。

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